実を言うと、ジェネリックはもうだめです。突然こんなこと言ってごめんね。でも、本当です。
私はジェネリック医薬品業界の品質管理に属している、
ペーペーペーのペーの一社員である。
ジェネリック医薬品を皆様ご存じだろうか。
と言ってもだいぶ普及してきたと思いますが。
意訳で申し訳ないが、特許切れとなった先発品を、有効成分そのままで安価で品質も同等の医薬品である。なんなら先発品よりも飲みやすさ等を改善していたりするものもある。
私はジェネリック医薬品の品質問題については、もちろん品質問題を起こす判断を下した偉い人を擁護するつもりはないが、
結論から言うと、国がジェネリック医薬品の薬価を下げすぎているように思ってならない。
品質レベルを上げるためには労力がいるのだ。ジェネリック医薬品だって慈善事業じゃないのである。
以前は医薬品系、環境系、と複合した分析を実施している会社に居たが、
信頼性基準か否かで実施料金が大幅に違う。GMPの維持、データの取り扱い方、何から何までかかる工数が段違いである。
それを知らず環境系は「なんで医薬品はこんなに工数かかっているんだ、対して売り上げも出ていないくせに」と宣うが、労力が圧倒的に違った。
知らない人からそのような文句を言われ、しゅんとすることもあったが・・・
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ある品質問題が起きたとする、例えば某社で多発している
「当該ロットにおいて出荷試験の結果を再確認したところ、再試験で適合とされたものについて再試験の実施に至る検証が行われていないことが確認されたため、自主回収することといたしました。」
この場合品質管理部ではどのように対処すべきなのか、考えてみることとする。
所謂GMP的にはまずい「データのいいとこどり」状態である。
まずは出荷試験で何かしらの試験(性状・純度・確認・定量・溶出・製剤均一性)が不適合だったとする。
本試験を実施してから大体不適合が発覚するのは試験の速度にもよるがおおよそ次の日である。次の日に不適合が発覚するとなると
この不適合が、人間のエラー(以下ラボエラー)によるものなのか、それともガチで薬がダメなのかの振り分けのために、調査をしなければならない。これがPhase1と呼ばれるものである。
Phase1調査の結果ラボエラーなら是正措置・予防措置(CAPA)を立てなければならない。同じことが二度も起きないように、である。いいエラー(いいエラーってなんだよ)ならば、CAPAも立てやすい。
例えば、薬の粉砕が粗すぎたために定量値が低下、または上昇するパターンにおいては、うちでは実施していないけれど、自動粉砕機を用いるように変更するなど、、、
(※自動粉砕にしたいとなればバリデーションの取り直し→承認書の変更等なんやらわけわからんのがいろいろ追加されるので、正直こういうCAPAは好まれないが)いろいろ対処の仕方はあるのだ。その後CAPAを教育訓練したのち、再試験実施。ということとなる。
ラボエラーじゃないよ、製剤が悪いよ。という風に品質管理部では結論がなされた場合、Phase2に突入する。参考品評価、という言葉が回収情報に出ていたりするが、ここで実施する(と思います。会社によって違うかも)
製造部との闘いが始まる。すんなりいくパターンもあるのだが、すんなりいかない場合は泥沼化する。
製造時に逸脱等がなかったのか、間違えた製法ではなかったかなど、調査が多岐にわたる。(一応製造部がやらかしてるみたいな案件は私が知る限りでは見たことがないけれど。)
そしてこれが間違いなく不適合ですね。という結論に至れば、無事回収という判断になる。出荷試験もおそらく同等なので、出荷判定が×となる。形なのだ。
品質管理だけでも頭おかしいほどの労力を割かなければならないのも上記の通り(ただでさえ出荷試験は毎日手を変え品を変え試験を実施している。)だが、
「再試験で適合とされたものについて再試験の実施に至る検証が行われていない」ということは上記のことを実施していないということである。
これがすべてデータベース、もしくは紙ベースですべて残っていなければならない。
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実際出荷ができないとなった場合の損害もただならない。
原薬調達、薬のその他成分の費用、製造部の人件費、品質管理の人件費、廃棄費など、損害は億になるということを耳にしたことがある。
それぐらい損害がでかいのだ。利益重視という言葉を某社の社長は使っていたが、
社長的には膨大な社員を養い続けなければならないのであり、そうなってしまうのもわからなくないが、品質問題を隠したのは・・・のような、大変複雑な気分を抱えてしまう。
だから、調査も何もなしに再試験!合格!出荷!は大変まずいのだが、ただでさえ薄利な現状でどうだろうか。
ただでさえ薬価が落ち続けるジェネリック医薬品、薄利多売の方式でいくしか稼いでいけないのである。
そのためには製造部、品質管理部、等等 どれだけの社員が業務をスケジュールを圧迫されていくのか。国はもう少し薬価について考えてほしいものである。
だから、ジェネリックが、とジェネリック会社のみを批評する記事を私は勤めているというのもあるため、あまりいい感情で見ることはできない。
この問題の本質はジェネリック会社だけではないと考えているからだ。国も、医療費の削減を謳って薬価を落としていく、ジェネリックの利用率を上げていることによる業界のシステム的な問題があると思っているからだ。
再三と言わせてもらうが、ジェネリック医薬品会社は慈善事業ではない。働いている社員もいて、利益を生まなければならない。そうでなければ潰れるだけです。ジェネリック医薬品はなくなりました。はい残念でした。です。
品質を上げるということは今まで以上に工数が割かれる、その分人件費は増えるのに、その金はどこから出る?薬価は下がる一方なのに?という話です。どんどん安かろう悪かろうになっていくよ??
要は少し薬価上げてくれよ。って話です。
殴り書きですみませんが今日はこの辺で。知識も不足しているので眼前に偏った意見だったら申し訳ない。